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キルタンサスで画像を検索してみて

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LINEの途中でつれあいがこんなトークを送ってきました。

「話は変わりますが、キルタンサスって花、懐かしいので暇な時に画像を検索してみて」

さっきまでやりとりしていたので忙しいわけがありません。僕はGoogleに「キルタンサス」と入力してみました。

 

cyrtanthus
キルタンサスの花:輝ぼうさんによる写真ACからの写真

 

小さなラッパのようなピンクの花です。たしかにどこか馴染みのある植物。しかし、いつ、どこでこの花を知ったのか、記憶に留まるほどじっと眺めていたのか、具体的な情報をたぐることができません。

そんな返信をすると、飽きれたと言わんばかりの新たなトーク。

「あらまー忘れ切ってるな! ○○の頃、●●おばあさんからもらって育ててたヤツだよ~。
たまにしか咲かない、かわいいお花」

〇〇は新婚で最初に住んだアパート。●●は僕の祖母の名前です。

地下鉄新玉川線の沿線にあったそのアパートはとにかくオンボロで、お金がない僕たちは小さな暮らしをたのしんでいました。

祖母はおしゃべりが大好きでした。母屋の座敷から屋敷の入り口前を通りかかった顔馴染みに「ちょっと寄ってお茶でも飲んでいきなよ」とわざわざ呼び止めるほど。そんな性格ですから、よく年寄り仲間を引き連れお出かけしていました。

晩年通ったのが東京・巣鴨のとげぬき地蔵尊(高岩寺)です。お腹の弱い僕はよくお札を飲まされたものでした。

祖母は新しい嫁を将来実家に戻ってきたときのためお披露目しておきたかったのでしょう。その“地蔵ツアー”によく誘ってくれました。つれあいも「ああ、たのしかった。あなたも来ればいいのに」と毎回言っていましたから、可愛がってもらっていたようです。

新婚アパートに来たのは確か1回だけだったと思います。当時トラックの運転手で東京近郊の地理に詳しかった叔父が連れてきました。その最初で最後の訪問時に祖母がキルタンサスの鉢植えを持ってきてくれたというわけです。

つれあいのLINEは続きます。

「悲鳴をあげるレベルで懐かしかったんだけどなぁ。なんていう花か知らなかったのです。最近知ったわ。思い出ってけっこう温度差ありますなぁ」

いや、まったく面目ないことしきりですが、確かに画像検索したとき“悲鳴”とはならずぼんやりとした郷愁が醸された程度でした。

でも、うれしかったのはつれあいが祖母の思い出といっしょにこのかわいい花キルタンサスを覚えていてくれたことです。

結婚して今年で36年。薄れゆく記憶あり、それをつなぎとめる言葉ありの夫婦でした。

 

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