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firstlove02

初恋

中学1年生のとき、なんとなくいいなと思う女の子がいました。 やせていて背が高く、主だったグループからはちょっと距離を置いている。笑顔を見せることはあまりなく、謎めいた視線がとても印象的でした。幼いころ、めんどうを見てくれた叔母に、外見がどことなく似ていたのも好意を持った理由かもしれません。 ある日、美術でポートレート・スケッチの授業がありました。男女がイーゼルを向かい合わせ、相手を描きます。どちらが先に指名したのか、もう忘れましたが、僕らはめでたくペアとなりました。 言葉をまともに交わしたのは、たぶん初め ...

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sokushinbutsu

旅の僧がしたこと

急峻な坂を5分ほど登った丘の上に、それはある。 高さ3メートル弱、直径5メートルほどのお椀を伏せたような円墳だ。行き届いているというほどではないが、一応毎年誰かが手を入れているようで、ちょろちょろと短い草が生えている。 すぐ横には、殿様の側室だったという方の広い墓所があり、うっそうとした林のそこだけが開け、天を仰ぎ見ることができる。 円墳には即身仏、あるいは即身仏になろうとした男が眠るとされている。 * 昔、この辺りでは水争いが絶えなかった。広大な田園地帯だが、残念ながら1本の小川が流れるのみで、水利を巡 ...

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higureni

日暮れに姉さんは

秋の陽が西に傾き、集落全体がもうすぐ山の影にすっぽり包まれる時刻。 歳の頃60代半ばとお見受けする姉さんが犬にひかれ歩いてくる。 休耕田の草刈りを終えた僕は田んぼの奥から道に向かい疲れた体を引きずるように歩いている。 しばし目が合い、どちらが先だったろう、「こんにちは」と声を掛け合う。 普段、集落に住んでいるわけではないので、見知らぬ顔でもあいさつを心掛けている。新住民の方ということがときどきあるからだ。まして老いのせいか視力が衰えたこの頃、よく見知った顔でさえ、判別がつきにくくなっている。 「草刈りはた ...

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twooidman2

気管支炎を患う僕と、誤えん性肺炎の話がしたいお向かいさん

鼻垂れの孫娘が帰った翌々日、のどの痛みとともに38度の熱を発し寝込みました。その後の養生が不十分だったのか、カラ咳が残り、今度は寝られません。のどの奥の方に移った炎症がさわり、タンを切ろうと咳き込んでも思うようにいかないのです。 最初は一般的な風邪薬でごまかしていましたが、いっこうに快復しません。むしろ服用すると気のせいか眠くてしかたない。見かねたつれあいが、漢方薬を購入してきてくれました。おかげで咳もだいぶ鎮まり、久しぶりに外出。その帰り路、お向かいのご主人に声を掛けられます。 「だいぶ咳き込んでらっし ...

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dontaskmyname

微笑む祖母に僕の名前をきかないで

祖母は脳梗塞で倒れ、その後およそ7年間、介護施設で過ごしました。当時、僕は30歳代前半で、遠く離れた場所で仕事をしていました。   Photo by Gabriela Palai from Pexels   年に1回か2回帰省し、見舞いに行ってました。 その際につらく感じたのが、看護師さんや、いっしょに行った叔母などが、僕の名前を憶えているか祖母に尋ねることでした。 祖母は車いすに座り、体がきくほうの手に握ったガーゼで流れ出るよだれを拭いています。訪ねてきた者全員に示す笑顔は倒れる前と ...

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dotabatajiji

息子夫婦を訪ねるも玄関で撃沈する、の巻

近所に住む息子夫婦のもとへリンゴを届けた。 義父が栃木の農家まで車で買い出しにいき、わが家に箱入りでおすそ分けしてくれる。この時分の恒例行事だが、今年は生後15ヵ月になるひ孫がリンゴを丸かじりできるようになったと聞き、わが息子夫婦のぶんもともう一箱余分に持ってきてくれた。 義父と義妹が久しぶりにわが家に来るというので、息子夫婦を呼び、四世代でお昼をいただく。 さて、お開きでの算段。 いただいたリンゴは10kgもある大箱でとても徒歩で持って帰れる代物ではない。義父が帰りに車で寄ろうと申し出てくれたが、運転手 ...

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murasakikatabami01

夫婦の価値観の相違と、それを認めあうということ

なぜか小さな花に惹かれます。だから庭の草取りをしても小さな花を咲かせる雑草を抜き取ってしまうのが忍びない。 いつか野生のスミレ草ばかりを残していたら、それを好物とする蛾が卵を産み付け、庭を毛虫がうじゃうじゃ歩き回るという事態となってしまいました。第一発見者の連れ合いは「うひゃあ~」と悲鳴を上げ、抜き取らなかった僕をさんざん責めました。でも仕方ありません。そんなことになるなんて知らなかったし、なにより小さな花が好きだからです。 そういうわけでスミレ草は駆除してください、はいわかりました、という契約が妻との間 ...

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老婆の杖

郵便局窓口で起きたまさかの「お客様の中に佐川急便さんはいらっしゃいませんか」事件

奇跡というのは本当に起こるものだし、そこに居合わせた人々は思わず感嘆の声を上げるものだと、連れ合いが興奮した面持ちで話し始めました。 郵便局の窓口で荷物を送ろうと順番を待っていると、前にいたお歳を召した女性にトラブルが生じたそうです。漏れ聞こえる話では、どうやら佐川急便の送り状が貼られた荷物を持ちこんでしまったご様子。窓口の女性は受け付けられないと丁寧に説明していたそうです。それでもその女性は困惑を隠せません。初めはコンビニに行きますが佐川の荷物は扱っていないと断られます。そして店員に勧められたのが郵便局 ...

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