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フルサト

かつて海のあった故郷の村での子どものころの話。田畑や野山の話。実家に帰り遭遇した最近の話。

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妹の味

2020/2/3    

妹が遅番の出勤途中に寄り、夕べのおかずをおすそわけしてくれました。 鶏の唐揚げ。大根とがんもどきのほの甘い煮物。 とくに唐揚げは料理するのがとてもじゃないけど面倒で、でも前回東京の家に帰宅した際はつれあいに次回はぜひ作ってくれろと願うほど大好きで、そろそろスーパーで買い求めようかと思案していたところだったので、まさにグッドタイミング。お昼にちょうどよく、ありがたくちょうだいしました。 あちらも子供たちは独立し、いまや旦那と二人暮らし。手抜きをすればできるものを、さすが手慣れた主婦にはたやすい手間なのか、あるいはわざわざうちの分も考えての手間なのか、とにかく手の込んだおかずを作ってくれるのはありがたいことです。 僕は高校を卒業して以来 ...

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20年物の養命酒

19年前、父が亡くなってから、普段使う必要な場所でない限り母は片づけをしませんでした。その一つが洗面台であり、こちらのポストのとおりです。 今回は別の場所についてお話しします。 そこは冷蔵庫と壁に挟まれた台所のコーナーで、汚れたままサビ付いた中華鍋や父が通販で買い求め一度使ったきり箱に戻されサビ付いた蒸し器や各種調理器、一斗缶に詰められた消費期限をはるかに過ぎた海苔や大豆、大切にし過ぎて食べられなくなったお歳暮のカニ缶などが80cmくらいの高さに積まれていました。 母は台所の手軽な棚として、そこにフライパンや大きな鍋を置いていました。 お盆に僕といっしょに実家を訪れていたつれあいは「恐くて手が出せなかった」と言います。たしかに冷蔵庫 ...

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母の菜園から

    実家の庭先に20坪ほどの家庭菜園がある。 亡くなった父が撮影した25年前の写真を見ると菊が咲き誇っていた。 さらに十数年遡ると、そこで祖父が倒れた。脳梗塞を起こし、立ち上がろうとしたのか菊の根元を握っていたという。 僕が子どもの頃、そこを含む一帯は広い田で畝にはユスラウメの木が並んでいた。なんでも食べ過ぎる僕はその実で疫痢に掛かったことがある。 土地に歴史あり。長く生きると何にでも愛着が沸く。 その土地が菜園になったのは母が実家でひとりとなってからである。珍しい野菜が好きで、横の路を通る友人から「それは何?」と尋ねられるのを喜びとしていた。 つれあいが先日八百屋さんでフラクタルがおもしろいカリフラワー「ロ ...

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カラスが鳴き騒ぐ日は

2020/1/4    

正月から縁起でもない話です。 昨年12月30日にカラスがたくさん舞い飛び、鳴きました。 わが地方では、というかたぶん田舎では、室内の大神宮様と歳神様に正月飾りと鏡餅のお供えをすると同時に、外の神様、たとえば稲荷様(うちにも裏にも小さな祠がある)や井戸神様などにお供え物として餅をあげます。 カラスはそれを知っていて、あげたそばからかっさらって行きます。 そして「ここにエサがあるぞう」とばかりに近くの電柱に停まり、辺りに呼ばわるのです。 それならよいのです。理由がわかっているから。 でも、本日1月4日。またカラスが鳴き騒ぎました。 朝から母は「なんだろう?」と怖れを口にします。 そう。理由もなくカラスが騒いだときは不幸が起こる(起こった ...

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遊び道具をナイフで工作した昭和半ばの子どもたち

2019/12/27    

僕が小学生だったある数年の冬、小さな折りたたみナイフが大流行したことがありました。 それで竹やりや竹鉄砲、木刀などを作るのです。 たとえば竹やりは川のそばに自生している細く真直ぐ伸びた女竹を使います。 のこぎりで長さ1メートルほどに切り、片方をナイフで斜めに尖らせます。そしてもう片方には尻から縦に5センチほど割れ目を付けます。 細長いアオキの葉を採り、先端にナイフでジェット戦闘機の尾翼のような矢形の切り込みを入れます。これをさきほどの竹の割れ目に差し、最後に“尾翼”が抜け落ちないように尻を糸で縛り完成です アオキはこの地方では冬に鮮やかな赤い実をつける低木の常緑樹でよく庭木として植えられています。鳥が実を食べフンを落とすのか、辺りの ...

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