亡き親友Kのあふれる才能については、すでにご紹介しました。
今日、もうすぐ解体する母屋の勉強机からKの暑中見舞いと年賀状が見つかりました。
じつは高校時代のカノジョからの手紙や自分の日記なども飛び出したのですが、終活の身にある61歳としては未練がましくとっておくわけにもいかず、青春の思い出に留め、現物は廃棄しました。つれあいや子どもたちには見せられない赤面の内容であったことは言うまでもありません
しかしKからの才気あふれるハガキは、まるで彼が生き返ったかのように懐かしく捨てるわけには参りませんでした。「お前とは一生のつきあいだよ」を体現すべく、ここにご紹介させていただきます。
1975(昭和50)年 16歳高校1年生Kからの暑中見舞い
おまえには暑中御見舞い申し上げません
それにしてもこう毎日毎日暑いとたまらんなー。
8月の上旬でこれだけ暑いのだから12月ごろはどんなに暑くなるやら、考えるだけで目がまわる。
話はかわるが、中学時代の仲間はみな元気でやっているだろうか。おまえに聞くだけヤボだが、4ヶ月前別れて以来、ごく少数の者(にくたらしいおまえたち)をのぞいては顔も見なければ、うわさにも聞かない。
中学時代の楽しい想い出が今になって恋しくなった。
そこでだ、一つおまえにたのみがある。この夏休み中に60何名かの人を1人ずつたずね、その様子を俺に教えてほしい。そうか、やってくれるか、さすが俺の親友。さっそく明日からでも始めてくれ。
TEL連絡先 (●)●●●●番まで
なお、上記へ電話すると、若い女の交換手が出るから、内線の53番、あるいは坊っちゃまの書斎にまわしてくれ、と言えば通じるはずである。
では、君の夏バテを祈る。この手紙は君をはげますために書いたのではなく君をおちょくるために書いた。どうだまいったか。ナッハッハッハッハッ―――。 敬具
1977(昭和52)年 18歳高校3年生Kからの年賀状
謹んで新春のお慶びを申し上げます
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
昭和五十二年元旦
ナッハッハ―。どうだまいったかぁ。
今年はめし使いがかわいそうだから直属の印刷会社へ依頼してこんなようなのを一千万枚ばかり刷ってもらったよ。
聞くところによると君のところでは年賀ハガキすらも買えなかったそうで…。しかし水くさいよなぁ。俺とおまえの仲、一言言ってくれれば郵政大臣をやってるおじさんに頼んで3枚くらいもらってやったのに。
ではまたあおう。たまにはうちのビルにも遊びに来てくれたまえ。
注意:交換手が出るので内線の612番又は「おぼっちゃまの部屋へまわしてくれ」と言うように。
No.780154(検)←意味わかるか?
まさか40年以上経っても笑わせてくれるなんて、やっぱりおまえさんにはかなわないな。
Kの言葉をパソコンで打ち始めたとたん涙が込み上げて来ました。