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バッタよ。バッタ。

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バッタが冬眠をするのかはわかりません。あるいはそのまま冬越しをするのかということも。たぶんみんな息が途絶えてしまうのではないかというのが僕の想像です。

でも12月23日。クリスマスイブの前日。晴れているとはいえ最低気温3℃。白い霜が庭とその先の休耕田を覆った朝、バッタに出会いました。

物置小屋の広い軒先の炭袋を積んであるひとつに目にも鮮やかな緑色のバッタがいたのです。右前足を失ってはいるものの、まだ生きている様子。作業の邪魔になり、誤ってつぶしてしまうといけないので、指でつかみ隣りの炭袋の上に置いたのですが、ふと彼の境遇に思いが及び、日当たりのよい場所に移してあげることにしました。

何が幸を奏したかはわからぬが、冬に至るまで生き延びた御前さんもきっと難儀なことだろう。寒空をよけてはみたものの、相変わらずのひとりぼっち。エサもなければ、喉を潤す露もなし。ポツネンとたたずむバッタに、センチメンタリズムが沸き起こったのです。

こちらが移動してあげた場所。3mも離れてはいませんが、軒下でありながら朝陽がこうこうと当たっています。すぐ先には昨年いただき株分けした赤いシクラメンの小さな鉢。さっき水をあげたばかりで、底から染み出たそれがコンクリートを黒く濡らしています。

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バッタよ。バッタ。ここで凍えたカラダを温めるがよい。喉が乾いているのなら水に口をつけるがよい。

1時間後、その場所を訪ねると、彼は陽光により多く当たらんとカラダの向きを90度変え気持ちよさそうにたたずんでいました。

そうか。そうか。僕はズボンの両ポケットに手を突っ込み、足早に母屋へと戻っていきました。

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