小惑星探査機「はやぶさ2」が地球帰還に向けエンジンの加速を開始しました。共同通信によると探査機はいったん地球に接近し、
カプセル投下後、本体は残った燃料を使って別の天体の探査に向かう
とのことです。
前回「はやぶさ」は持ち帰った鉱物のカプセルを分離後、大気圏で燃え尽きました。任務を全うした後のその散りざまは日本人好みの美しさを湛え、感動を覚えました。
一方今プロジェクトの「その後」は「新たな任務のためそのまま飛び去る」というもの。僕はさらに胸を熱くしたのでありました。
点が三つあるとき、人間は顔を認識すると言います。それに似た思考がマシンへの眼差しに情緒を帯びさせて止みません。人間が遠隔操作しているとはいえ、マシンが壮大で孤独な作業を忠実に実行しているときその姿に大いなる意思を感じてしまうのです。
「はやぶさ2」は8億kmの距離をおよそ1年かけて地球に戻ります。距離を時間で単純に割ると、その平均スピードは秒速25kmを超えます。
イオンエンジンをフルスロットルで吹かし(表現が間違っているようにも思いますが)、遠い出張先から帰って来ては、お茶もすすらず、つぎがありますからとせっせと出ていく。さすが勤勉実直な日本人が創造したマシン。人間なら過労死レベルの働きぶりに健気さを覚えます。
彼(彼女)は、その後どこに何をしに行くのだろう。まだ帰還さえもしていませんが、旅の無事を祈るばかりです。