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バターを上手く切り分けられた朝

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バターは1個がデカい塊を購入するようにしている。お安くはないので使い切りサイズに個包装された手間賃さえも支払うのがもったいないからだ。

しかし包丁を使い自分で切り分けるのはなかなかに難しい。

まな板の上に置き、銀色の包装紙を開き、刃を入れるが、バターの断面がぴったりくっつくためはがすのに苦労する。力を入れすぎると刃先がブレ、断面が開いてしまうことで、交差する切れ目を入れる際に、きれいな方形を作りにくいのだ。

一度包丁の刃を電気コンロで温め、切れ目を入れやすくしてみたことがある。しかし熱が高すぎたのか、断面が溶けだしてしまった。これだと冷蔵庫での保存時、再凝固し、切り分けた同士がくっついたり、下の包装紙に張り付いたりし、取り出しにくくなってしまった。何より、包装紙に広がった溶解部分がもったいない。

さて、この朝も、うまく切れますようにと祈りながら刃を入れたわけだが、なぜか今回はかつてないほどうまく切れた。包丁を火ではなく、蛇口から出る38度の温水につけ布巾で拭ってからやったのがよかったのかもしれない。それでも刃に貼り付くバターの断面を、刃を垂直に保ったまま、真上から指で慎重に押したのがよかったのかもしれない。もちろん目測で縦横センターから慎重に切れ目を入れ始めたのもよかったのだろう。

エリンギのバター醤油炒めを朝食に添えたくて、冷蔵庫を開けたら、ケースが空っぽだった。一瞬、買い置きを切り分け、ケースに収めるのは面倒と思った。でもやっぱり美味しい方がいいよね、と思い直し、取り組んだひと手間。急がず、丁寧に取り組んだおかげで、うれしい朝になった。

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