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(ネコナデ010)僕の胸に顔をうずめた彼女は鼻先を強く押し当てた

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リフォーム中のわが家です。住みながらの工事なのでひとも猫も縮こまって暮らしています。

知らない人が極端に恐いパステルミケ娘様には降ってわいた災難。職人さん(男)の話し声やドリルの激しい物音に、昼の工事中は、寝室のベッドの下にこもりっきりでした。

それが本日、ついに寝室にまで“魔の手”が伸びることになりまして、今朝は別部屋への移動で大騒ぎ。

職人さんの作業はすでに始まり、いくら呼び掛けても頑として出てきません。ベッドマットを引きはがし、すのこの隙間から手を伸ばし、なんとか隠れ場所の収納引き出しから追い出しました。

しかし、今度は部屋の隅から隅へ、ベッドの向こうをほふく前進で逃げ回ります。

男の僕では恐がるばかりなので、つれあいが必死の猫なで声でなだめすかし、ようようキャッチ。抱きかかえようしたら爪でひっかかれました。危うく手を放しそうになったところで、僕が両手でギュッと体を握り引き取ります。

強い力にひるみ大人しくなったところで体制を整えます。仰向けに抱き直し、腰に掌を当て安定。片方の手で頭をつかみ固定します。

ここは3階、移動先は1階です。そこにたどり着くためには絶賛工事中の2階の脇を通らなくてはなりません。おりしも階段の踊り場では大工さんが脚立を広げています。

彼女をそこから遠ざけるように僕は力を込めて顔を胸に当てました。すると彼女もすすんで、さらにもぐり込むように鼻先を押し付けてきます。

そして「フー、フー」と短いうなり声。それは威嚇するときの「フワ―」とは異なり、やっと息をするようなか弱いものでした。それは泣きだしたくなるのを必死にこらえているようでした。

僕は「恐くないよ」と励ましながら階段を下りました。

建物の一番端で騒音の届きにくい納戸まで来て、ようやく解放です。手からひねり降りるとほふく前進で収納布団の奥にもぐり込んでいきました。

ただいま午後2時半。5時間以上経過しましたが、いくら呼び掛けても気配を消して出てきません。

まだ怒っているのかな。

僕はうれしくて何度も様子を見に行くのでした。

nekonade010

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