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イブの朝ほっかほかのローストチキンがやってきた

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クリスマス・イブの朝、近くの住宅団地に住むおかあさんがローストチキンを届けてくれました。

てかてかにあぶり蒸された大きな鶏もも肉はまだ湯気が出そうなほど温かい。聞けば今朝調理したばかりの、できたて。自分の母が食べやすいように骨なしで毎年作っているのだそうです。

「何人でお住まいかわからなかったもので」と顔の知れた母と僕のために2枚持ってきてくださいました。

昔、お肉屋さんをやっていた祖母から教えてもらった作り方とのことで、美味しさはきっと間違いなし。居合わせた母といっしょに大騒ぎで受け取りました。

このおかあさんは今年からうちの空き農地で家庭菜園を始めた方。心のこもった手料理はそのお礼の品でした。

わが家では農地を近くの住宅団地の方に菜園として使ってもらっています。荒れ地にしておくよりよい、と始めた祖父の思いを受け継ぎ、父と僕も代々、利用料はいただいておりません。全部で900坪の土地ですが市街化調整区域なので固定資産税は年間2500円ほどです。まあ、無料でお貸ししても問題のない土地なのです。

さて、そんなわけで暮れのこの時期、お歳暮が続々と実家にやってきます。

サラダ油、醤油、洗剤、洋菓子、佃煮、ビール…この辺りが定番でしょうか。とても母ひとりの世帯で消費し切れる量ではありません。正月に帰省した僕が持ち帰り、あるいは近くに住む妹におすそ分けし、減らしていくのですが、どこぞに仕舞い忘れた10年前のサラダ油がひょっこり掘り出されることもしばしばでした。

10月から母と暮らすようになり、大食漢登場というわけでそのへんは解消見込みなのですが、やはりみなさま同じ近くのスーパーでご購入されると見え、言ってはわるいですが、まあ、変わり映えのしないラインナップ。なんなら日頃の買い物でお値段チェックまでできてしまいます。ああ、ハシタナイこと。

そんななかでの手作りのローストチキンはまさに白眉でありました。そう正真正銘のプライスレスだったのです。

同じように農地を菜園として貸しているある地主さんは、噂によるとお歳暮を持ってきた借主さんに「本当は現金のほうがいいのだけどね」とおっしゃったそうです。本音はどなたもそうでしょう。

でも、こんなうれしいこともありますからね。

老母と老僕のクリスマス・ディナーはローストチキン。肉は柔らかく、臭みもまったくなく、聖夜にふさわしい素晴らしいご馳走となりました。

あのお母さんの畑に実り多かれ。ほかのみなさんには申し訳ないけど、僕は密かに星に願ったのでありました。

 

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