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この道はいつか氷を踏んだ道

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実家の前に小道があり、その向こうにうちの休耕田があります。

今日は今年最後の草刈りでした。秋に刈っておけば春までそのままにしておける。ほっと一息つくための希望の労働です。

土手を刈り、道に落ちた刈草をほうきでかき集める。その小道は今は側溝が掘られた立派なアスファルトとなっていますが、僕が子どものころは、土がむきだしのデコボコ道でした。

そこに雨水が溜まると冬には氷が張りました。小学校への登校時、家の敷地の出口をほんの数メートル出たばかりのところで、僕はこれからの通学路の退屈を紛らわそうと、靴のかかとで白い氷の面を押し割りました。気圧の変化によるのか、地面への水の浸透のせいなのか、くぼみにできた氷にはよく白い面ができ、格好の遊び相手になりました。ほとんどが軽く踏み抜けるものでしたが、なかには頑固なものもあり、そんなときは「チェっ」と悪態をつき、やり過ごしました。

昔の子ども靴は不出来なプラスチック製で、冬の外気にめっぽう弱く、小石など蹴って歩こうものなら、つま先がすぐに割れ親指が飛び出しました。最先端技術者の皆様の努力も空しく、活用する論文が未明であれば、自ずと応用技術も稚拙であり、消費者は我慢せざるを得ません。今からすればずいぶんと不良品を履かされたものです。

しかし道の氷割りはかかとの仕事。僕は靴が壊れるのを気にすることなく存分に踏み遊ぶことができたのでした。

土手の草をほうきでかき集めているとき、ふとその光景が浮かび上がりました。50年以上も前のこの場所での出来事です。

秋の甘い香りが夕焼けの集落に漂っていました。今年ももうすぐ冬がやってきます。

 

 

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