昭和初期の高島屋の通販
Amazonでなんでも購入できてしまう便利な時代、と感心していたら、じつは80年以上も前から通販は元気でした。実家の物置を片付けたら出てきた古い時代の新聞。そこに東京日本橋高島屋の通信販売の広告が大きく掲載されていました。
1933(昭和8)年7月21日の東京日日新聞です。
物価を比較
これらの商品は現代の価格に換算するとおいくらなのでしょう。
「明治~平成 値段史」によると「昭和10年のそば1杯の値段が10~13銭」だったそうです。現代のそば店大手チェーン「名代富士そば」では「かけそば1杯の値段が300円」です。およそ3000倍の上昇となっています。ちょっと乱暴ですが、この上昇率から割り出してみました。
また商品に併記されていない場合、荷造費と送料が別途実費負担となります。これはおそらく注文時に確認できるものと思われます。
現代の価格に換算すると
デッキチェア(大人用)2円80銭(荷造費70銭)→8400円(2100円)
籐椅子セット 9円90銭(荷造費無料)→2万9700円
レースカーテン/幅90×丈165cm 50銭(送料15銭)→1500円(450円)
電気アイロン 1円75銭(送料33銭)→5250円(990円)
手回しミシン 6円(荷造費50銭)→1万8000円(1500円)
夏ワイシャツ白キャラコ(薄地平織り綿布)1円(送料21銭)→3000円(630円)
敷布80銭(送料15銭)→2400円(450円)
携帯用蓄音機 15円(荷造費45銭)→4万5000円(1350円)
いかがでしょう。おおむねお手頃価格に思えます。
携帯用蓄音機は掲載された商品のなかで最も高額ですが、現代のデジタルオーディオプレーヤー(DAP) と思えば妥当な価格ではないでしょうか。
昭和初期の方々も、僕と同じようにこうした広告を見て、地元の百貨店の品と価格を比べて、とあれこれ悩んでいたのだろうな、と想像すると、ひとは昔も今もそうたいして変わらないものだと微笑ましく思えてきます。
ああ、もしかしたら祖父や祖母も、これを見ていたのかもしれません。
実家に眠っていた古い新聞はいろいろな感慨が詰まったタイムカプセルでした。