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艶女と焼き鳥

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※こちらは一部不快を催しかねない性的表現が含まれます。敏感な方は閲覧をお避けください

 

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人-修善寺-」を観た。

アサシン善児が源頼家を殺害し損ね致命傷を負う。拾い子の弟子トウが使命を果たすが、善児もまたトウにより息の根を止められる。かつて善児により産みの親を殺されたトウの積年の恨みが爆発という凄まじいラストの神回。いつも奥深い本と演出、俳優さんに唸っていたが、ほかに幾重もの綾が織り込まれた今回は「上総介暗殺」と並ぶ傑出の出来となった。

このトウの立ち位置についてつげ義春の「女忍」が似たような展開であったはずと書棚より作品集を取り出す。そしてついほかの作品も読むことに。売られた娘が一人で切り盛りする田舎の居酒屋で酔っ払った野郎どもに〇を揉ませ稼ぎにする「もっきり屋の少女」。安焼酎をしこたま呑み、崩れるように床についた私は、もしかしたらこれが原因だったかもしれない夢を見る。

第1話「艶女」
誰かの披露宴に出席した帰り、新宿駅で中央線下り列車に飛び乗る。最後尾の車両の後ろから二つ目の扉。リネン室のような狭い空間に立つ。そこへ後ろの入り口付近にたむろしていた若い女性たちの集団から飛び切り艶めかしい一人が体をくねらせ近づいてくる。ピタリと体を寄せ、全身を使ったシルクの愛撫。たぶん肌寒さでしっかりまとった化繊の夏掛けふとんが似つかわしい刺激となっていたのだろう。彼女のボディランゲージはめくるめくひとときをもたらしてくれた。

第2話「焼き鳥」
ふと気づくとすでに自宅のある駅で降り、幹線道路の信号を渡っている。左手には焼き鳥の煙を入り口で派手に立てる居酒屋。軒先にはなぜかいま焼いたばかりのウナギの頭がパック詰めになり置かれている。このところのダイエットに少々嫌気が差していたこともあり、甘い醬油ダレのたっぷりかかったご馳走に目を奪われる。しかしそこは吝嗇の血を祖父より受け継ぐ私、ほかに手ごろな値段のものはないかと目を移すとてらてらに光った焼き鳥皮を見つける。ああ、食べたいと思った瞬間、焼き場にいた職人に呼ばれ、近づくとカウンターに丼山盛りの白ご飯と湯気を上げる焼きたての鶏皮。「いいから、食ってけ」のひとことに今度は胃袋が“愛撫”への期待で震える。

善児の業(ごう)を描き切ったドラマに打ち震えたはずのわが身がやすやすと色と食の欲に振り回される。夢ってほんっと怖いですね。

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