小さいときから絵を描くのが好きで、実家の古い柱にいたずら書きをしては怒られたものです。あれはたしか5歳の節句のときです。母親があちこち描いて困ると客前でこぼしたのでしょう。招かれていた祖母の弟が「そんなことあるもんかなあ。好きなんだからどんどん描け」と僕を座敷脇のかべ前に抱き上げてくれました。そのとき青いクレヨンで描いた戦車の絵がおよそ50年経ったいまもそこに残っている。いやはやとんだ画伯でした。
さて、そんなわけで、歳を重ねたいまもときどき図画工作の時間に身を置きたくなります。
もう2年ほど前ですが、こんなものを作ってみました。
なんだと思います。とくに目的もなく削り出したんですが、いまでは食卓のふきん置きとして活躍しています。
なんだか急に夫婦で木の器作りをやってみたくなったんです。とはいえ家には連れ合いが小学生のときから持っている彫刻刀セットしかなくて、急きょノミやナイフを新調しました。近所の木材屋さんで一切れ100円の木っ端を買ってきて、およそ2週間かけて仕上げました。
いまじっくり眺めると、なんとも不格好ですが、作った本人にとってはかわいい作品。これからも大切に使い込んでいきたいと思っています。
え、作品はそれだけか?って。はい、そうなんです。そのときは夢中で削っていたのですが、普通の家のリビングで木の器作りをやるのはなかなかの大ごとでして、木くずは散らかる、やすりをかければ粉が舞い飛ぶで、専用の作業場がなくてはとても気軽にやれるものではないことに気づいたのでした。
力もそれなりに込めますしね。連れ合いなどは筋肉痛で仕事に差し支える始末でして。そんなこんなで作品はそれぞれ1個だけ。連れ合いの作品披露は堪忍してつかあさい。僕以上に図画工作自慢の彼女にとって、たぶんあれは黒歴史に入るものではないかとお見受けしております。お察しください。
さて、そんな情けない結末になってしまいましたが、これから木の器作りをやりたいという方におススメの本があります。それがこちら「手づくりする木の器」。
木工作家の作品ごとにその工程が写真付きで解説されていて、見るだけでもとても興味深いものとなっています。