妻と離れて暮らしています。
ちょうど3年前、私は高齢の母の生活支援をするため単身実家に帰りました。それまで妻と娘と暮らしていた家はリフォームし、小さな子どもを一人持つ息子夫婦を迎えました。
以来、3ヵ月ほどの間隔で、私が帰ったり、妻が実家に来たりしています。
お墓参りを兼ねて8月15日のお盆に合わせ来るはずでしたが台風通過のため中止。そのリベンジが今回の10月初旬でした。
来たからといって何をするわけではありません。前回はお手製のレンガ窯でいっしょにピザを焼いたりしました。今回はあいにくの雨模様でこれといってすることがありません。本でも持ってくるといいよ、と声を掛けておきましたが、ボロ布を切り裂き鍋敷きなどを作り時間をつぶしていました。
私も何かおたのしみをと考え家庭菜園の収穫を控えておりました。都会育ちの彼女は農作業の経験がありません。トマトやナス、ピーマン、夏いちごの実をハサミで自分で切り取る醍醐味をぜひ味わってもらいたいと用意しておいたイベントです。彼女は嬉々として小雨の中収穫に励みました。畑の隣で赤々と実る柿も持って帰りたいとレジ袋いっぱいもぎました。
1日を終え、いつもは独りの寝室で隣に妻が布団を敷いて寝ています。深夜に目を覚ますと、彼女の横顔が見える。ほのかな愛おしさに包まれる。いっしょに暮していたころは当たり前だった光景が新鮮でした。
2泊3日の滞在を終え、雨の中、最寄りの駅まで彼女を車で送って行き別れを告げます。「電車、気を付けて」「あなたも気を付けてね」。そんな短い言葉のやりとりに長い別れの予感がよぎり切なかった。
次は私が家に帰る番。もう明日にでも彼女に会いに行きたいです。