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ryugujo

竜宮城をみつけた日

  故郷の目の前は海で、広い干潟があった。それは隣村で干拓となっていた。 干拓といわれても、ぴんとこない人が多いだろう。干拓は、海に土を盛り、周囲を堤防で囲み、新たな陸地を生みだすものだ。水路を巡らせた隣村の干拓は一面の田んぼとなっていた。 干拓には実家の所有する田があった。水路は深く、道との境目をアシやガマが隠し、小さな子どもにはとても危険な場所だった。だから、たまにしか連れて行ってもらえなかったが、干拓の思い出は鮮明だ。 * あるとき叔父が青いザリガニを見つけた。父といっしょに水門まで走り、 ...

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hanashiwo

話を捨てに行く

  母の妹の友人に、ご主人と理容業を営む方がいます。実家が理容業だったため、若い頃から資格を取り、手伝っていました。そのうち理容業の男性との縁談が持ち込まれ、彼女は彼のお店へと移りました。もう数十年、その仕事を続けているベテランです。 母の妹はその女性に誘われ、半年に一度ほどのペースで東京に遊びに行くそうです。家からターミナル駅まで車で30分。さらに東京まで電車で2時間半。ちょっとそこまで、の距離ではありません。でも、どこを見物する、何を買う、といった目的があるわけでもない。ただ電車に揺られ、思 ...

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sobonohimitsu190206

祖母の秘密

  幼いころ、祖母は「ある場所」によく連れて行ってくれた。 バスで1時間ほど揺られた先の、終点にある、栄えた街。今はすっかり寂れてしまったが、当時は駅前に大型バス2台が入るターミナルがあり、目抜き通りを挟んで2つのデパートが覇を競っていた。 その街の一角に小さなクリーニング店があった。 駅の近くでありながら、路は狭く、ひっきりなしに車が行き交う。バスが軒先をかすめるように通り、祖母と僕はびくびくしながら端っこを歩かなければならなかった。車が巻き上げる埃で、クリーニング店の硝子戸はいつも汚れていた ...

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tanuki

狸に化かされた大叔父

  大叔父は、背が高く、笑顔を絶やさない男だった。10人兄弟の一番上が僕の祖母で、すぐ下の弟が大叔父だった。農業に篤い親は戦時中にお国から勲章をいただいている。それなりの家のお坊ちゃんだった。何にでも興味を示し、博識で知られていた。 僕の妹が結婚相手を決めたとき、まだ親同士が会ってもいないうちから、新郎の自宅を探し当て、カメラに収め、わざわざ写真を見せにきてくれた。少しおせっかいなところがあったが、人柄がそれを笑い話にした。 半農半漁の僕の生家では、秋に祭りがあった。いわゆる収穫祭である。近在の ...

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yamatsutsuji2019

やまつつじ

  遠浅の海となだらかな丘陵に挟まれたせまい土地に、僕の産まれた村はあった。 平地が丘陵地帯の奥まで入り組み、谷状となったどん詰まりでは清水が湧き出ていた。そこは谷津(やつ)と呼ばれ、村から谷津に続く平地に田んぼが連なっていた。 初夏のよく晴れた日、僕と叔母は、谷津の田んぼで農作業をする家族にお昼ご飯を届けた。 叔母は、中学生の時に僕が生まれ、いっしょに暮らす初めての甥っ子だったせいか、実の弟のように可愛がってくれた。その日も、いっしょに歌ったり、しりとりやたわいもない話をしながら、遠い道のりを ...

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sokushinbutsu

旅の僧がしたこと

急峻な坂を5分ほど登った丘の上に、それはある。 高さ3メートル弱、直径5メートルほどのお椀を伏せたような円墳だ。行き届いているというほどではないが、一応毎年誰かが手を入れているようで、ちょろちょろと短い草が生えている。 すぐ横には、殿様の側室だったという方の広い墓所があり、うっそうとした林のそこだけが開け、天を仰ぎ見ることができる。 円墳には即身仏、あるいは即身仏になろうとした男が眠るとされている。 * 昔、この辺りでは水争いが絶えなかった。広大な田園地帯だが、残念ながら1本の小川が流れるのみで、水利を巡 ...

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dotabatajiji

息子夫婦を訪ねるも玄関で撃沈する、の巻

近所に住む息子夫婦のもとへリンゴを届けた。 義父が栃木の農家まで車で買い出しにいき、わが家に箱入りでおすそ分けしてくれる。この時分の恒例行事だが、今年は生後15ヵ月になるひ孫がリンゴを丸かじりできるようになったと聞き、わが息子夫婦のぶんもともう一箱余分に持ってきてくれた。 義父と義妹が久しぶりにわが家に来るというので、息子夫婦を呼び、四世代でお昼をいただく。 さて、お開きでの算段。 いただいたリンゴは10kgもある大箱でとても徒歩で持って帰れる代物ではない。義父が帰りに車で寄ろうと申し出てくれたが、運転手 ...

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老婆の杖

郵便局窓口で起きたまさかの「お客様の中に佐川急便さんはいらっしゃいませんか」事件

奇跡というのは本当に起こるものだし、そこに居合わせた人々は思わず感嘆の声を上げるものだと、連れ合いが興奮した面持ちで話し始めました。 郵便局の窓口で荷物を送ろうと順番を待っていると、前にいたお歳を召した女性にトラブルが生じたそうです。漏れ聞こえる話では、どうやら佐川急便の送り状が貼られた荷物を持ちこんでしまったご様子。窓口の女性は受け付けられないと丁寧に説明していたそうです。それでもその女性は困惑を隠せません。初めはコンビニに行きますが佐川の荷物は扱っていないと断られます。そして店員に勧められたのが郵便局 ...

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